学会名:有床義歯学会 電話番号:03-3527-3890

有床義歯学会誌への投稿原稿の査読の基本的な考え方

有床義歯学会誌への投稿原稿の査読の基本的な考え方(案)
             2021・7 有床義歯学会編集委員会作成

この文章は当学会で投稿された学術原稿について、査読を担当された先生方が具体的にどのような方向で査読を行えばいいのか、できるだけ詳細に現場の実情も加味して記述したものです。

また同時に原稿投稿者にも、どの部分に気を付けて原稿の記述を行えば良いかの指針にもなるように記述しました。査読者・原稿投稿者双方がこの指針に基づき、学術誌に相応しい内容と構成の原稿作成を効率的に行うことができれば幸いです。

1.査読とは何か
研究者が学会に論文を投稿する際に、あらかじめ同じ分野で仕事をしている他の研究者による評価を受けること
・ 論文の質、ひいては会議や論文誌の質を保証する 役割を担う
・査読の結果「採録」と判定された論文のみが、世の中に発表される

「査読の仕組みと 論文投稿上の対策 お茶の水女子大学 伊藤貴之」より引用 
http://itolab.is.ocha.ac.jp/~itot/paper/ItotSTJ7.pdf

・・・・と、いうことで査読は投稿者の研究者としての実績を深めるためにも、学会誌の信頼性を高める上でも重要なプロセスです。

2.原稿投稿から査読、校正、最終原稿(組み版)チェックまでの流れについて
基本的には査読を要請された原稿に対して所定の用紙にコメントを書き、編集委員会事務局に返送。投稿者が修正した原稿を再度査読・再返送。この繰り返しで原稿掲載が可能になったらば「掲載可能」のコメントを付して査読委員の役目は終了となります。
(永田先生の資料を参照のこと)

3.投稿原稿の基本的な要件のチェック

*今回の素案では投稿原稿の研究方法の妥当性・新規性についての検証はあえて外しました。論文としての構成や、文章がきちんと意味の通じるものになっているかを主として点検する内容としています。

1)タイトルのチェック
・研究内容が一読して理解できる具体的かつ明快な表現であること
・情緒的な形容詞は使わない
・タイトルの最後は名詞が基本
(例)
○ 義歯の重合操作において***システムを用いて重合歪を低減する手法の紹介
× より素晴らしい適合の良好な義歯作りを目指して

2)学術論文の基本的な書式を満たしているか
有床義歯学会誌投稿規定(案)4.論文(総説・原著)の形式 1)〜8)の要件を満たしているかをチェックしてください。
当学会でのこれまでの投稿例をみると、以下のような不備がしばしば見られました
・学術用語が「歯科補綴学会専門用語集」に準拠していない表記
・文脈から見て同じ表記の学術用語を使用すべきところで違う表記がなされている
・参考文献が提示されていない
・参考文献が本文中に引用箇所が明示されていない
・図表の説明文や挿入箇所の提示の不備
(もちろんその他の項目についても、もれなくチェックをお願いいたします)

3)学術論文の基本構成に沿って記載されているか
・本文が「目的」「材料及び方法」「結果」「考察」「結論」の順序に従って記載されているか
・「考察」に類する文章(〜については***と推測されます といった内容)が他の項目「材料および方法」「結果」などに紛れ込んでいる例が散見されます。見つけたらば修正の指示をお願いします
・特に「材料及び方法」「結果」は「やったこと」「起きた結果」だけを誤解のない表記で記載しているかをチェックしてください
例)***を行い、その結果は***であった
 ***の症例をチェックしたところその所見は***であった
・推論や結論を出す場合には必ずその根拠をしめしてください
例)**の結果の***のポイントから****といったことが推測できる
文献***と今回の結果の***の内容から***といったことが推測できる

4)あらたな概念や手法を提唱するときには
その内容を本文中にて定義付け、該当の用語については「 」つけとして使用する

4.本文の文章記載についての基本的要件(この項目は特に投稿者参照のこと)
1)結論をまず考え、その一文を明記してから全体の文章を書き始めて下さい
例)デジタル技工システム***は技工操作の***の場面において作業効率化と精度向上に寄与すると考えられる
書き出しを考えるのではなく、最後の結論をまず考えて下さい。そこから文章の全体の構成を組み立て、継ぎ足していくのが学術論文の書き方としては無理がないようです。
(参考文献 理科系の作文技術 中公新書)

2)文章は主語述語目的語を明確に記述して、意味のとりちがえのないようにして下さい
3)接続詞でつなげる長い文章は避け、単節で区切るようにして下さい
4)曖昧表現 婉曲表現 比喩表現は使用しないで下さい
〜かもしれない 〜のようである  これらは学術論文では基本的にダメです
5)特定の事象に対する推測を述べる場合には論拠となる文献や事例を提示した上で記述して下さい
例)****という結果は****という文献から見ると(あるいは***という症例の一般的な見解から見ると)****であると推測される
ダメな例) ****の例は(私は)****と思われる 

6)自分自身への評価・感想の文章は書かない
あくまで学術論文ですので事実に基づいたことを書くのが基本です
ダメな例)私は***と感じた 私にとって***の点が有益であった
私の能力は十分であった あるいは不足であった
→こういった文章表現は学術論文では不要です
(要するに「私」が主語の文章は書かないということでもあります)

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